マイクロバブル・ナノバブルの新たな可能性5

もっと知りたいナノバブル

2022年02月21日

マイクロバブル・ナノバブルの新たな可能性5

100μm以下のサイズのマイクロバブル・ナノバブルは、排水処理に有効かどうかについて考えてみます。

まず、100μmのマイクロバブルを以下のように分類してみます。
・径が100μm以上の浮上していくマイクロバブル。
・径が0?100μmの収縮しながら液中で消滅するマイクロバブル。
・径が0μm未満で、液中を浮上せず消滅しないナノバブル。

100μm以上のものは、浮上中にいくらかの酸素が接触面から溶解します。
また、液面で破裂した時に、内部の酸素が液中に溶けます。
マイクロバブルは、酸素溶解だけでなく、液中のSS(懸濁物質)に吸着して、
その浮揚力で浮上分離させることができます。
これは、排水処理において結構重要な役割です。

次に、0?100μmのものは、液中に完全に消滅(溶解)してしまいますので、酸素移動効率が上がります。

0μmのものは、ナノバブルですので、酸素移動はほぼ無いと言っていいでしょう。
*ナノバブルは長期間、安定して存在しますので、内部の酸素が移動することはあり得ません。
ただ、ナノバブルが生成されるほどの強力な気液混合力によって、溶存酸素濃度を過飽和まで高めます。

このように、どのバブルも酸素移動に貢献するのですが、マイクロバブル・ナノバブル技術では、
余程の大型の装置(または複数の設置)でない限り、槽内を攪拌する力はありません。
大型の装置は大きな動力が必要ですので(エネルギーロス)、採算面で疑問です。
排水処理とは、環境破壊を起こす排液を放流してよいレベルまできれいにすることですが、
この行為は一円の価値も生み出しません。
にもかかわらず、全世界のエネルギーの2%弱が、排水処理(産業排水を含め)
に使用されていることを考えると、省エネルギー、高効率を目指さなければなりません。
SDGsの最大のテーマと言っても過言ではなさそうです。
ただ、現時点でのマイクロバブル・ナノバブル技術では、排水処理に貢献できるとは思えません。

斯と、「可能性」と銘打っておきながら、この結論はいただけませんね。
なんとかマイクロバブル・ナノバブル技術の可能性をひねり出してみます。
可能性のひとつは、ミリ・マイクロ・ナノのバブルを同時に大量に生成できるノズルを開発することです。
加えて、このノズル内に、ポンプの力で液体を流した時、大量の空気を自吸でしなければなりません。
ノズルの内部構造によってこの空気を砕く必要がありますが、構造物が摩滅しないこと、
目詰まりを起こさないことが必須条件となります。
設置場所は、排水を固液分離後、活性汚泥槽に導くパイプに取り付けるのがいいのではないでしょうか。
*排水をオゾン処理する(強力な気液混合力でオゾン反応を促進する)こともできます。
さて、そのようなノズルが開発できたとしても、槽内の曝気には、別途に攪拌力が必要になってきます。
果たして、曝気とマイクロバブル・ナノバブル技術の融合は可能なのでしょうか。
次回からは、そのあたりのことを探ってみたいと思います。