腸内細菌とナノバブル1

もっと知りたいナノバブル

2021年12月13日

腸内細菌とナノバブル1

以前、当コラムで、ナノバブルが腸内細菌を整えることができるかというテーマを取り上げました。
その後、折に触れ、新たな研究が発表されていないかを注視してきました。

ひとつご紹介します。
Microbiota gut, nanobubbleで検索すると、下記の論文がヒットしました。
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/fo/d0fo01592j#!

マウスの腸内細菌叢群集構造に対するナノバブル水の影響を調査したものです。
まず、窒素ナノバブル水と水素ナノバブル水、そして脱イオン水を5週間与え、糞便微生物叢を16SrRNA
遺伝子配列によって分析します。
その結果、窒素ナノバブル水の群では、糞便微生物叢の菌種の多様性が有意に増加したそうです。
また、有益なClostridiumが6.3倍、Coprococcusが9.7倍に増えたと報告しています。
片や、水素ナノバブル水では、病原性属のMucispirillumが86%、Helicobacterが60%減少したそうです。
別な研究では、水素ナノバブル水でラクトバチルスが増加したと報告されています。

どのようなナノバブル水なのか詳細は分からないのですが、日本のメーカーのナノバブル・ジェネレーターで
生成したもので、粒径はおよそ100?200nmとのことです。

この研究を行なったZitao Guo氏は、高脂肪食を与えたマウスに窒素ナノバブル水を飲ませたところ、
肥満の発症を軽減できるとも報告しています。

ここである疑問が湧いてきます。
ナノバブルが腸内細菌と出会ったとして、どのような反応が起きるのでしょうか。
これまで、ナノバブルに関するさまざまな研究発表を読んできましたが、
ナノバブルの反応性については得心のいくものに出会えていません。
これはあくまで類推ですが、窒素ナノバブル水は、酸素を追い出した窒素置換水であり、
腸内を嫌気的にすることに役立っているのではないでしょうか。
水素ナノバブル水も嫌気的なものです。

腸内細菌は1000種類以上と言われています。
窒素固定菌、水素を出す菌、メタンを生成する菌、酪酸を産生する菌、酢酸を産生する菌、
いろいろな菌がいます。そして、共通していることは嫌気性であるということです。
腸は嫌気的消化を行なっています。

窒素や水素が入っているナノバブルは、安定性を持っているので、数日でそのまま排泄されてしまうでしょう。
すなわち、腸内細菌に有用と思われる「水」は、ナノバブルを生成した時に生まれる「水」ということになります。
機会があれば、もっと掘り下げてみたいテーマです。