マイクロバブル・ナノバブル技術とは!19

もっと知りたいナノバブル

2021年10月15日

マイクロバブル・ナノバブル技術とは!19

このシリーズは、平成29年度のマイクロバブル・ナノバブルの特許出願技術動向調査報告書をもとに、
4年後の現在、技術の進展がどこまできているのか、それぞれの分野ごとにアプローチしています。
環境分野では、これまで排水処理、水質浄化、トイレ洗浄について書いてきましたが、
この環境分野に「オゾン気泡殺菌」としてある会社が紹介されています。

そこで今回は、オゾンナノバブルについて取り上げたいと思います。
まず、オゾン水とオゾンナノバブル水を別々に捉えなければなりません。
厳密に言えば、オゾンナノバブル水はオゾンで気液混合を行ないますので、当然、オゾン水になります。
このオゾン水からは時間とともにオゾンが抜けていきますので、残ったものはオゾンナノバブル水です。
ですから、作りたてのものはオゾン臭がします。時間が立ちオゾンが抜けたものはオゾン臭がしません。

コロナ禍で、さまざまな機関やメーカーがオゾンの力でウイルスに対抗しようとして模索しています。
中でも、日本経済新聞に大きく取り上げられた取組みを紹介します。
「東北大学と産業用装置メーカーのポエックは、28日、新型コロナウイルスの不活化(死滅)
技術・装置の研究開発を始めたと発表した。
まず、2021年中にオゾンを利用した小型機器を商品化。東北大のナノバブル技術や23年完成予定の
次世代放射光施設での研究成果も組み合わせ、未知のウイルスにも有効な技術開発を目指す」。
どのような技術なのか、興味が湧いたので、ネット上でいろいろ調べてみました。
その中に、「ナノバブルは水中で破裂しないため、オゾンを水分にしみこませやすく、
その効果を持続させやすい」という記述がありました。
オゾンを水分にしみこませやすく、とは一体何のことなのでしょう。
ナノバブル化とは、強烈な気液混合ですから、オゾンを浸み込ませる(溶融)ことができるのは当たり前です。
破裂しないから、ナノバブルの中に内封されているオゾンを、しみこんだ分として勘定するのでしょうか。
効果が持続するとは、ナノバブルが長期間にわたり安定しているから、持続すると言い換えたのでしょうか。
*果たして、ナノバブルの中にオゾンが分解されずに残っているとは思えませんし、
もしオゾンがない封されていて、ウイルスにナノバブルが接触すると都合よく壊れ、
オゾンが勢いよく飛び出して殺菌力を発揮するとでも言いたいのでしょうか。

奈良県立医科大学の報告もありました。
?塩濃度1.8%のオゾンナノバブル?を新型コロナウイルスに5分接触させると、
1.0 x 107PFU/ml から、1.6 x104PFU/ml(減少率99.850%)へと感染価が減少しました。
10 分の接触ではさらに減少し、4.5 x 102PFU/ml(減少率99.993%)となりました。
この報告もまた、オゾン水なのか、オゾン水でなくなったオゾンナノバブル水なのか、判断ができかねます。
一度、オゾン色に変わるまで気液混合したオゾンナノバブル水を生成し(強烈なオゾン臭がして、
部屋から逃げ出しましたが)、一日放置したところ、オゾン臭もしなくなったので、
公的機関で大腸菌を懸濁していただきました。結果は、まったく、菌は死にませんでした。
殺菌力があるのはオゾン水であり、オゾンナノバブル水ではありません。