マイクロバブル・ナノバブル技術とは!11

もっと知りたいナノバブル

2021年07月21日

マイクロバブル・ナノバブル技術とは!11

水質改善おいても廃液処理においても重要なテーマは、いかに貧酸素の状態の水に酸素を供給するかです。
確かに、ブロワーでブクブクと空気を大量に流し込む曝気より、泡を微細にすることで気体(酸素)が
水に接する面が大きくなるマイクロ・ナノバブル技術の方が、水に酸素が混ざる確率は多くなるはずです。
気体の移動効率は、マイクロバブルの方が上であることは明らかです。
ナノバブルが液体に酸素を供給するガス・タンクの役割を果たすという考えは、やや無理があるようです。
ナノバブルが長期間安定するというのは、ナノバブルが壊れないからであり、壊れないというのは気体が
外へ出て来ないということです。
バブル内の気体を利用するためには、バブルは壊れないと意味がありません。
関西風に言うと、「壊れてなんぼ」です。
さて、水質改善・廃液処理を担う微生物のことに触れなければなりません。
水に混じった酸素を利用するのは微生物です。酸素を供給するのは、微生物に活発に動いてもらい、
有機物を分解してもらうためです。
微生物は水の中の酸素を費消します。ですから、常に安定的に酸素を補給し続けなければなりません。
これは大変な作業です。
人間の細胞も酸素を必要としています。
呼吸で酸素を取り込み、肺で赤血球のヘモグロビンに結合させます。赤血球は、
全身にくまなく張り巡らせている毛細血管網の末端で、血管壁に擦れて、酸素を手放します。
分圧によって、毛細血管から細胞外液に流れ込んだ酸素は、細胞壁を通り、ミトコンドリアに手渡されます。
人間は常に細胞に酸素を供給し続けているのです。
呼吸が止まれば、酸素供給ができず、死に到ることになります。
水の中の微生物も同じです。酸素補給が無ければ死に到ります。
また、酸素補給がうまく行けば、微生物は増殖します。
増殖して、酸素を費消する微生物が多くなると、より多くの酸素が必要になります。

ただ、前回のコラムでも書きましたが、大変優秀な酸素補給技術を構築しても、
対費用効果というものがあります。諏訪湖の例を示しましたが、琵琶湖だともっと費用が嵩みます。
琵琶湖の水質改善への取組みがネット上で検索できます。
その中に、マイクロバブルを湖水に流し込む取組みがありました。
読んでみましたが、諏訪湖と同じように、マイクロバブルを流し込んだ周辺の改善に繋がるのですが、
とても琵琶湖全体の水質改善にはつながりません。
狭い範囲しか改善できないのです。
何万台もの装置を導入するのは、費用面でも、景観上の問題もありますし、
マイクロ・ナノバブル技術を採用するまでには到っていないようです。
これは単なる思い付きですが、湖底に酸素豊富な「過飽和酸素水」を送り込むことができれば問題は解決するのではないでしょうか。
水にはヘンリーの法則で、25℃で8ppmほどの酸素が混ざっています。
ナノバブル技術で、過飽和酸素水(40ppm以上)を作り、血と同じように、湖底の広い範囲に流し込むのです。
まさしく仮説ですが、その可能性について、次回に取り上げてみます。