ナノバブルとは何か!18

もっと知りたいナノバブル

2021年04月07日

時間をかけて、サーフェス・ナノバブルの海外の論文を読み漁りました。
なんとか理解を深めようとしたのですが、サーフェス・ナノバブルの安定性に関しては
広範な合意と言いますか、共通の理解が形成されているとは言い難い状況のようです。

今回、サーフェス・ナノバブルに拘ったのは、果たしてその気液界面がどのような状態
なのかを知ることでした。流体力学的キャビテーションで発生させたバルク・ナノバブル
は電気二重層に囲まれ、マイナスに帯電したことによって生じる外部静電圧が、
内部のラプラス圧とバランスを取り、安定するように、サーフェス・ナノバブルもまた、
どのような表面特性で長期安定性もつに到るのか、バブル・ナノバブルと同じなのか、
それとも別の仕方で安定性を保っているのか、このことを知ることは、
今後ナノバブルのビジネスを行なっていく上で不可欠な知見であると思ったからです。

ひとつ、その表面に対して興味深い仮説を唱えている報告がありましたので紹介します。
サーフェス・ナノバブルの気液界面は透過性であるというものです。
全反射フーリエ変換赤外線装置と原子間力顕微鏡によって、サーフェス・ナノバブル内の気体が、
気泡内部に密封されず、外部液体の溶存気体と交換(出入り)するという内容です。

当然、疑問が湧きます。突っ込みどころ満載です。
界面の無い気泡など存在するわけがありません。自由に気体が交換されるのならバブルは成立しません。
ところがこのイラストを見て、考え込んでしまいました。へたり込んだといった方が、近いかもしれません。


https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0021979716307810

「私達は、サーフェス・ナノバブルの形成が、空気分子の初期の核形成プロセス、
および形成された空気クラスタのその後の融合によって動かされると気付いた」。
どうやら、疎水面に気体のクラスタが生じ、サーフェス・ナノバブルが形成されるということでしょう。
そして、サーフェス・ナノバブルのサイズと疎水面との接触角が、その安定性に寄与しているようです。
詳しくは、この論文も参考にして下さい。
https://www.research.ed.ac.uk/portal/files/79048761/acs.langmuir.8b02887.pdf