ナノバブルとは何か!17

もっと知りたいナノバブル

2021年03月31日


Solvent exchange methodという実験方法があるそうです。溶媒交換法と訳すようです。
前コラムでご紹介した西山助教授が、固液界面ナノバブルをこの手法を使って発生させました。
疎水性面をもつ板をセットした容器に、エタノールを容れて数分間浸し、そこへ純水を注入して、
エタノールと純水を置換します。
すると置換後の固液界面に多数のナノバブルが発生するのだそうです。
完璧に理解しているとは言えないのですが、エタノールと純水の気体の溶解度の違いによって
生じるとのことです。
エタノールにはたくさんの気体が溶解しています。
そのエタノールが接触していた疎水面に、気体の溶解度が低い純水が注入されると、
局所的に過飽和な状態になった疎水面上にナノバブルが発生します。
この手法は、固液界面ナノバブルを発生させるためにしばしば用いられている手法とのことです。
バルク・ナノバブルを発生させるためには、数百万円の装置が必要であると主張される方が
おられるようですが、サーフェス・ナノバブルは溶媒交換法で至極簡単に作れてしまうようです。
なんだか、キツネにつままれたような感じです。
確かに、液体の中には気体が存在します。
その存在している気体が、容器の内側(疎水面)で徐々に合体して、ナノバブル化するというのは、
なんとか理解できそうです。
そして、安定的に存在できる理由としては、固気液三相回線において働くピニング力よって説明
できるとのことです。
*ピニング力:ひずみなどに捕えられ、ピンで止めたように動かなくなる現象。

2018年、KAKENの特別研究員奨励費で行われた研究の報告を紹介します。
「濡れ性がナノバブルの生成に与える影響については、親水・撥水複合面の上で界面ナノバブル
を生成させることで調査している。
複合面の濡れ性の差の程度によって界面ナノバブルの生成領域が著しく変化することが判明していたが、
本年度は更に考察を深め、撥水性表面が溶存気体分子を引き寄せる一方で、親水性表面は隣り合う
撥水性表面に気体分子を供給すると仮定することで現象を定性的に説明することができた。
この結果は、基板表面の濡れ性の制御が界面ナノバブルの生成位置のコントロールにつながる
ことを示唆する重要な結果である。」
とのことです。

*詳しくは、以下のページを参照してください。
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-18J11880/

では、サーフェス・ナノバブル内の圧力はいかほどのものなのでしょうか。
次回は、海外の報告を交え、そのあたりのことをもう少し探ってみようと思います。