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ナノバブルとは何か!10

2021.2.10

もっとしりたい

ナノバブルとは何か!10


唐突ですが、ローマン・コンクリートを御存じでしょうか。
2000年前のローマ時代のコンクリートですが、現在の高速道路の耐久性が50年とか60年
と言われているのに対して、ローマの遺跡は未だに崩壊せずに残っています。
なぜ、こんな話題を取り上げたかと言いますと、コンクリートやモルタルにナノバブル
(二酸化炭素)を混ぜることで、耐久性を上げようとする取組みがあるからです。


日本では北海道大学工学研究院の北垣亮馬準教授が第一人者です。
この北垣先生に、『マイクロ・ナノバブルを利用したコンクリートの促進炭酸化技術』
と題した論文があります(発表当時は東京大学)。
マイクロ・ナノバブル自体を専門にされてはいないのですが、実に示唆に富んだ内容ですので、
ナノバブルの寿命(長期安定性)を考える上で、ご紹介したいと思います。


まず、微細気泡の物性について、このように書かれています。
「一般にマイクロバブル・ナノバブルと言われる微細気泡の寸法によっては、
さまざまな特性があることを主張する報告事例も多いが、筆者はそういった微細気泡の特性については
確証がもてないので、あまり考慮していない。
あくまで古典的な化学工学で整理できる範囲の性質に整理し直して、研究を試みている。
・10μm以下の微細気泡であっても、それ以上の大きな気泡と考え方(捉え方)は同じである。
・水溶液中の微細気泡が容液中のイオンと直接反応することはない。
但し、微細気泡中に含まれている物質と同等のイオンが容液中で消費され、気相から液相へ溶解可能になった場合
気液界面から溶解し、微細気泡の物質量が減少すると考えられる。
つまり、微細気泡はあくまで単なる気相であり、容液中のイオンが消費された場合に、
その物質を溶解させるガスタンクのような供給源として働く。
・結果として、微細気泡が二次的に容液中のイオンどうしの反応に参加することになるため、
実際は溶解度が低い物質であったとしても、見掛けの反応量を増やすことができる。
この時の見掛けの反応速度は気液界面の物質移動速度を支配するメカニズムに基づくはずであるため、
通常の容液の反応速度の考え方に気液界面の物質移動速度が組み込まれる。
・微細気法は水溶液中で浮力と水による抵抗の両方から作用を受け、少しずつ水面へと浮上している。
但し、浮上速度が大幅に遅くなるので、泡を水中に長期にわたって保存することができる」。


長々と引用させていただきましたが、ナノバブルの界面上のイオンがダイナミックに動いているという
捉え方を目にするのは初めてです。いつの間にか、ナノバブルはイオンで構成される強固な「殻」に覆
われていると思い込んでいたようです。ナノバブルの界面上は、激しくイオンが動き回る流動的な状態
なのでしょう。


ますます、謎が深まるばかりです。
次回も、北垣先生の論文を参考にしながら、ナノバブルのLifespan(寿命・長期安定性)について、考
察したいと思います。