ナノバブルとは何か!9

もっと知りたいナノバブル

2021年02月03日

ナノバブルのLifespan(寿命)についての問い合わせをいただくことがあります。
大変難しいテーマです。
「3か月、半年、否1年は安定して存在する」と、専門家の間でも熱く議論されています。
ただ、ナノバブルをどのような水で作ったか、どのような発生方法で作ったか等で、
その寿命も異なってくるのではないでしょうか。

そこで、内外の研究・報告を改めて読み直しました。
まず、再読しましたのは2018年、アメリカ化学会で発表された
「On the Existence and Stability of Bulk Nanobubbles」N. NirmalkarA. W. Pacek, and M. Barigouという報告です。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.langmuir.8b01163

「バルクナノバブルの最も特異な特徴は、その異常な長寿であり、数日から数週間、
1年以上保たれていると報告されています。
そこで、平均気泡径、気泡サイズ分布、気泡数密度、ゼータ電位の変化を何ヶ月
にもわたってモニタリングすることで、ナノバブルの長期安定性を解明しようとしました。
観察期間は1年です。バブルサイズ分布の時系列変化を図に示します。バブルサイズ分布は
、その形状を保持しますが、ピーク(モード)は時間の経過とともに徐々に減少します。
すべてのサンプルについて、ナノバブルの数が徐々に減少していき、
最初の 50 日間で約 50 % が消滅しています。その後、バブル崩壊はかなり減速し、
濃縮量の少ないサンプルでは170日後、最も濃縮されたサンプルで330日後であっても、
有意な集団が依然として観察されます。
また、減少の平均速度は、初期のバブル数密度の影響を受けるようです。
ナノバブルは、より集中した懸濁液で全体的に遅い速度で消えるようです」。

気泡サイズ分布の時間的変化

気泡密度の時間的変化

ここで興味深いのは、気泡の数が減少しても、平均気泡サイズは時間が経過しても
変化しないということです。
バブル合体、バブル破損、またはオストワルド熟成からの有意な影響を受けていないことが分かります。
報告では、ゼータ電位もモニタリング期間に渡って変化しなかったそうです。

次回は、日本の研究者の報告を紹介します。