続・農業革命7

もっと知りたいナノバブル

2020年10月28日

続・農業革命7

前回、根の呼吸について書きました。
もう一度、整理しますと、動物は肺呼吸、魚はエラ呼吸、植物は内呼吸です。
どれも酸素を取り込む方法ですので呼吸と呼んでいますが、
内呼吸では細胞自体が酸素と接触していなくてはなりません。
この酸素は、水に含まれている酸素のことです。
植物は、根に流れ込む水によって、酸素を取り込んでいるのです。
「慈雨」という言葉があります。意味を調べると、「日照り続きの時に降る雨」
とは別に、「万物を潤し育てる雨」という意味もあるようです。
雨は、地上に落ちてくる間に、たくさんの酸素を吸収します。
この酸素が、植物を育てるのです。
逆に、井戸水には、ほとんど酸素が含まれていません。
いくら井戸水を遣っても、植物は酸素不足で窒息し、枯れることになります。
*土の中の空気を細胞間隙から取り込む呼吸については、土耕栽培で取り上げます。

では、植物はどれだけの量の酸素を必要としているのでしょうか。
いろいろネット検索していると、かなり古い文献に出会いました。
位田藤久太郎氏の『疏菜の根の通気必要度』
疏菜=そさい。最近は、あまり使われませんが、青物のことです。

?抜粋します。
通気の必要度をしらべるためワグナーポットにH o a g l a n d 液入れ、
ビニールフィルムで液面をおおって、水中に酸素の溶入をはばんで溶存酸素量を少なくした区、
普通の水耕区、バブリングによって水中の酸素を飽和近くに保った区の3とおりを作 つて、
多種類の疏菜を1 ?5か月栽培し、生育の比較を行った。各区の水耕液中の溶存酸素量は、
通気区7 ? 1 5 ppm、標準区5 ?7 ppm、酸素制限区は 3?5 ppm内外に保たれた。

驚いたことに、それぞれの野菜によって、酸素要求量が異なることです。
特に、トマトは一株当たりの重量が、通気区で4倍近くになっています。
逆に、ナスでは、どの区でも同じ結果です。
他の野菜でも、さまざまな結果が出ています。
詳しくは https://js-soilphysics.com/downloads/pdf/008003.pdfをご覧ください。

海外では、酸素ナノバブルを活用した水耕栽培が主流になりつつあるようですが、
そこまでして酸素の量を増やすことに意味があるのか、否、空気ナノバブルで充分なのではないだろうか?

次回は、もう少し、植物ごとの酸素要求量について、考察したいと思います。