トピックス「ナノバブルは真球体」

トピックス「ナノバブルは真球体」

東北大学・未来科学技術共同研究センター・高橋正好教授が、新たな基礎研究を発表されました。
『Free-Radical Generation from Bulk Nanobubbles in Aqueous Electrolyte Solutions: ESR Spin-Trap Observation of Microbubble-Treated Water』と題して、2021年4月15日の「Langmuir」という米国の化学誌に掲載されています。
ここで全文が読めます。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.langmuir.1c00469

一部、内容を要約してみます。
「ナノバブルの形態とラジカル生成の把握を試みました。ナノバブルは微量のイオン
(ここでは硫酸鉄FeSO4添加)を含む水に気体を吹き込んで50µm以下のマイクロバブルを生成させ、
1日以上放置します。バブルは水に溶けて縮み、450nm以下のナノバブルができます。
イオンが泡の表面に集まって無機質の薄い殻を作るので、生成したナノバブルは安定で、
少なくとも6ヶ月はその状態を維持します。
ナノ粒子の形態は原子間力顕微鏡(AFM)で調べられますが,水中を浮遊している物質のAFM観察は難しく、
そこでナノバブルがマイナスに帯電していることを利用し,プラスに帯電させたマイカ基板に静電気力で引き付けて観察しました。
この結果、ナノバブルは真球に近い形状をしており、その大きさは50nmよりも小さい(分布の最頻値42.5nm)ことを明らかにできました。
次に6ヶ月保持したナノバブルを含む水に塩酸を添加して電子スピン共鳴(ESR)測定を行ないました。
マーカーの信号の間に4つの共鳴ピークが見出され、塩酸添加によりナノバブルが弾けて水酸基ラジカルが生成したことを確かめました」。

この報告で重要なことは、電子スピン共鳴法や原子間力顕微鏡などを利用して、ナノバブルが50nm以下の真球体であり、
内部に高いエネルギーを保持しているということです。

ただ、ナノバブルを、硫酸鉄を核にして生成している点や、塩酸を添加してナノバブルを弾けさせることなどは、
実際の現場で、ナノバブルを活用しようとしている私たちにとって、あまり関わりがあるようには思えません。
安定しており、塩酸添加でないと弾けない(壊れない)ナノバブルが、たとえ高い内部エネルギーをもっていたとしても、
結局は弾けないのですから、そのエネルギーにお目にかかることはないでしょう。

最後に、ナノバブルの特異な効果として、酸素ナノバブルは動植物への活性効果、
オゾンナノバブルは強力な殺菌作用を持つと結論されています。
どうやら、殺菌には水酸基ラジカルが関与しているということなのでしょう。
ただ、まだこの結論に到るには時間が掛りそうです。