マイクロバブル・ナノバブル技術とは!7

マイクロバブル・ナノバブル技術とは!7

前々回、ナノバブルによる癌治療において「EPR効果」というものが鍵を握ると書きました。
そこで、この医療シリーズを締めくくる上で、海外のナノバブル最新研究紹介と、
「EPR効果」について詳しく触れるつもりでおりました。

5月19日、「EPR効果」を最初に発表された、前田浩氏が亡くなられました。
氏はその功績で、何度もノーベル賞の候補に推挙されていました。
訃報に接し、誠に残念でなりません。
今後は、氏が設立されたバイオダイナミックス研究所の後進の方々が、
氏の意志を継いで、真に有効な癌の治療法を確立されることを期待しています。
https://biodynamics.co.jp/

「EPR効果」について、再確認しておきます。
「Enhanced Permeability and Retention effect」を直訳すると、
癌細胞への薬物の血管「浸透性・滞留性亢進効果」です。
癌細胞は、いち早く栄養(ブドウ糖)を得るべく、自前の血管を新生します。
ただ、急ごしらえのため、その血管には通常の血管より大きな孔が開いています。
この孔は30~200nmほどですが、この孔を通り抜ける大きさなら、
癌細胞に目的物を集積させることが可能です。
詳しくは検索いただくとして、以下の論文を推奨しておきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/33/2/33_89/_pdf

ナノバブルを使って、「ワールブルグ効果」と「EPR効果」を組み合わせるとどうなるでしょうか?
酸素を内包したナノバブルを癌組織に滞留(集積)させます。充分に集積させた段階で、
そこに収束型超音波、もしくは衝撃波でナノバブルを強制的に破裂させます。
ナノバブルが破裂し、内包されていた酸素が飛び出し、癌組織を酸素まみれにします。
癌は酸素を嫌いますので、圧倒的なダメージを与えることができます。
超音波の波長、および衝撃波の速度とナノバブルが破裂する条件(粒径)が分かれば、
実現可能であると思います。
海外の最新の研究を紹介します。
『ACS Applied Materials & Interfaces』に掲載された
「Instant Ultrasound-Evoked Precise Nanobubble Explosion and Deep 
Photodynamic Therapy for Tumors Guided by Molecular Imaging」
https://europepmc.org/article/MED/33908256
ここでは、機械的衝撃により、癌組織内のナノバブルを破裂させると、
深部癌組織に対して相乗的な抗癌効果が示されたと報告しています。
この発見は、癌の治療に対する新たなアプローチになると結論付けています。
前田氏の『EPR効果』が基礎となり、癌治療の新たな取り組みが生まれています。
フロンティアとしての前田氏のご冥福を祈ります。