ナノバブルとは何か!20

ナノバブルとは何か!20

分子シミュレーションは、ナノバブルの安定性を証明できるか?
「ナノバブルとは何か」のこのシリーズは、このテーマをもって終了します。

京都大学の松本充弘先生の10年以上前に書かれた『分子シミュレーションは熱工学の役に立つか?』
です。
https://www.jsme.or.jp/conference/tedconf07/backuphp/conf07proc/B22-matsumoto.pdf

分子シミュレーションから得られたナノバブルに関する結論は、
「 ナノバブルにおいても Y-L 式を適用してよい。あるいは適用しても矛盾は生じない。
Y-L式に現れる表面張力や飽和蒸気圧について、その気泡サイズ依存性はない。あるいは極めて小さい。
なお、Lennard-Jones 相互作用[式(3)]という短距離力ではなく、Coulomb 相互作用のような
長距離力が働く場合にも、基本的にはこの結論が妥当であることを我々は確かめつつある。
我々はナノバブルの安定性について次のように考えている。
観測されるナノバブルは、平衡状態にはない。例え Pliq ≈ Pvap ≈大気圧 というような場合、力学
的つりあいが成り立っていないため、バブルは次第に小さくなり、やがて消滅する。あるいは、
平衡状態にあると思われる場合には、非凝縮性ガスを気泡内部に含んでいる。
もしくは界面活性のある不純物が気泡表面に吸着して表面張力が大きく低下している、
のいずれか(もしくは両方)であろう」。

そして、マイクロバブル・ナノバブルの表面がマイナスに帯電していることを確認し、
この帯電が不純物によるものではなく、水分子が解離してできた水酸化物イオン OH-に
よるものと考えられる、と考察されています。
また、このような 電荷は気泡の表面張力を大きく変える可能性があり、
ナノバブルの安定性を議論する重要なポイントとなるであ ろうと、
すでに10年以上前に予測されています。
まさに、先見の明と言うしかありません。

現在も、いろいろなナノバブルのセミナーで活躍されておられ、今後の新たな研究に期待しています。

次回から「ナノバブルの応用」と題して、
さまざまな分野で活用されているナノバブルの事例を紹介していこうと思います。