ナノバブルとは何か!19

ナノバブルとは何か!19

熱力学から見たナノバブルを考えてみたいと思います。

10年ほど前、『万物を駆動する四つの法則 熱力学を究める』
ピーター・アトキンス著が出版されました。
難解な内容で、いささか苦戦しましたが、実に知的好奇心をくすぐられました。
その中でも自由電子エネルギーを扱った章は刺激的です。

さて、バルク・ナノバブルを熱力学的に捉えれば、液相に囲まれた気相であり、
この気相は界面をもち、熱力学量は界面自由エネルギー(  )で表現することができます。
以前にも紹介しましたが、ラプラスの式により、バブルの径が小さくなればなるほど
、外部液体と内部気体との圧力差が大きくなり、熱力学的には不安定な状態になります。
径が大きければ浮上し破裂しますが、径が小さければ縮小し消滅します。
これが物理法則なのですが、ナノバブルはこの物理法則に反します。

では、ナノバブルを熱力学はどのように説明するでしょうか。
Thermodynamic nanobubbleで検索してみました。
『Multiplicity of thermodynamic states of van der Waals gas in nanobubbles』
という論文を見つけました。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1004954120304626

内容を一部紹介すると、バルク・ナノバブルに閉じ込められた気体の熱力学的状態は
まだ不明とのことですが、論文の中に、ファンデルワース・ガスという言葉が出てくるのですが、
実在気体の状態方程式(ファンデルワースの式)のことのようです。
専門用語だらけで、すべてを理解したとは言い難いのですが、ナノバブルの中の気体の状態を
自由エネルギーに基づき分析することで、安定性にアプローチしようとされていることだけは
辛うじて分かりました。
抄録の最後に、複数のナノバブルの共存と、ナノバブルと液体との間の微小相平衡を予測し、
ナノバブルの中の熱力学的状態を理解するための今後の洞察を提供できたと締めくくっています。

ナノバブルが崩壊する時、内部温度が上昇すると言われています。
内部の気体が、どうして高温になるのか、興味深いテーマです。

他に、マイクロ・ナノバブルの熱力学を取り上げた柳家伸一郎・徳島大学教授の
『金ナノ粒子の光加熱により生成するマイクロ・ナノバブルの顕微鏡観察』という論文があります、
ぜひ、こちらの論文もお読みください。

今後、熱力学的観点から、ナノバブルを捉える研究が進むことを望みます。