続・農業革命10

続・農業革命10

ナノバブル化とは、気体と水を混合させることで起きる現象です。
この混合方法には、エジェクター方式、キャビテーション方式、加圧溶解法、
ベンチュリー式、旋回流方式などがあります。
変わったところでは、水撃法というものもあります。
弊社のナノバブル化技術は、スタティック・ミキサー法に分類されます。
内部構造で、水と気体を激しく掻き混ぜる方式です。
これらすべての方式は、ナノバブルを発生させると同時に、気液混合により、
水の酸素濃度を上げることができます。
中には、一気に酸素濃度を飽和値まで上げる方式もあります。
*どの方式が優秀であるかは、今後、いろいろな検証がなされるでしょう。
併せて「劣る技術」は淘汰されていくことになると思われます。

前置きが長くなりましたが、前回に紹介させていただきました近畿大学農学部の論文について考察します。
論文中には、いくつかの引用論文(これまでに報告されてきた植物の成長促進とナノバブルの効果)
が紹介されていますが、それらすべての検証が、同じナノバブル発生装置で作られた同一のナノバブル水で
行われたどうかが分かりませんので、促進する、促進しないかを厳密に評価することができかねます。

たとえば、Afmed博士が2018年に『Journal of Agricultural and Chemistry』に発表した論文には、
「空気を使用したナノバブルでは、レタス、ニンジン、ソラマメ、トマトの発芽や成長を有意に促進できなかった」
という記述があります。
また、2015年、農業環境技術研究所の南川和則氏は、
「酸素ナノバブルと普通の水で灌漑されたイネの成長に差はなかった」と報告しています。
逆に、成長促進が大いに見られたという報告も多々あります。
同じナノバブル水で検証しさえすれば、自ずとこの論争に決着がつくと思います。

自社で開発した装置で発生させた空気ナノバブルで、実際にトマトの水耕栽培を行なった結果、
明らかな成長促進が見られました。
ナノバブル水で植物を育てることは、有効な方法だと考えていますが、この有効さは、
どこから生まれるのか、そこが謎です。
勿論、水の酸素濃度を上げることは重要です。また、水の中に空気ナノバブルが滞留することは、
ガス・リザーブとして、酸素濃度が低くなれば、開裂して酸素を補給するということも考えられます。
ナノバブルのゼータ電位が、植物の根のイオンイオン取り込み特性に、良い影響を与える可能性ももあります。
京都大学の上田義勝助教は、「根に付着したナノバブルが、陽イオンであるナトリウムやセシウムの吸収を促進し、
陰イオンであるリン酸の吸収を抑制したことが推察される」と報告されています。
また、ナノバブルが栄養素の取り込みに貢献するという近畿大学農学部の今後の研究にも注目していかなければなりません。
植物の発芽・成長促進と、ナノバブルの効果に関しての論争に、決着がつく研究結果が待たれます。

次回からのコラムでは、ナノバブルの基礎研究を海外の最新論文をもとに紹介していきます。
勿論、農業・水産など、さまざまなアプリケーションも、新しい知見が出れば、それぞれ取り上げていくつもりです。