続・農業革命9

続・農業革命9

前々回のコラムで、Youtubeでご覧いただける名古屋大学理学研究科構造生物学研究センター
臼倉治郎名誉教授の「透過像、走査像同時計測可能なクライオ電子顕微鏡の開発と応用」を紹介しました。
後半に、ナノバブルを撮影した件(くだり)がありますが、そこで、こんなことを語っておられます(要約)。
「ナノバブルを見てみようということでトライしたところ、ものの見事に見えました。
ここで面白いことは、気泡がちょっと黒く写っていることです。
気泡だったら、もっと白く写るのではないかと思っていたのですが、
どうやら気泡がイオン化と言うか、電子をもっているから黒く写るようです。
いろいろな研究者が、ナノバブルはマイナスに帯電していると言っています。
私も、イオン化しているのではないかと思います」

ナノバブルはマイナスに帯電している、このことが、植物の根に、なんらかの働きを持つのでしょうか。
紹介したことがある大下誠一教授は、ナノバブルを含む水を種子に与えると、
水の中に発生した外生のROS(活性酸素種 -OH他)が、種子の細胞壁の緩みを生じさせ、
同時にシグナル分子となり、内生のROSを発現させる。また、デンプン分解酵素が生成され、
種子の発芽、幼根の「生長促進プロセス」が起きていると報告しています。
-OHはマイナスです。一部の研究者は、ナノバブルは-OHの殻で形成されていると主張しています。

そこで、こんなことを考えてみました。
土壌中の「根圏」はマイナスに帯電しています。これは、プラスである栄養素を引きつけるためです。
ということは、ナノバブルも栄養素を引きつける働きがある、ということではないでしょうか。
この仮説は、果たして成立するでしょうか。
どこかで、このようなことを解説している方が居られるかもしれないと、ネットで検索してみました。
ひとつ見つかりました。
「ナノバブルのマイナスの電荷が、プラス電荷の各種栄養素を引き付けることで、
栄養素を届けやすい環境を作り出していると考えられます」というものです。
ただ、「考えられる」という、想像の域を出ないもので、実際に行なった実験・検証の報告はありません。

海外の報告も探してみました。
見つかりました。『Plant Production Science』に掲載され、本年2月にオンライン公開された論文です。
「超微細気泡は、養分不足ストレス下での大豆苗の成長を効果的に促進する」というタイトルです。
なんと、海外で発表された論文ですが、発表者は近畿大学農学部能楽研究科の先生方です。
結果と考察を読むと、微細気泡水中(100nm)のROS(-OH他)産生は、大豆の成長促進に関与している可能性がある、というものでした。
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/1343943X.2020.1725391
ここで読めます。次回のコラムは、この研究結果をもとに、再度、マイナスに帯電したナノバブルの根との関わりを考察します。