続・農業革命8

続・農業革命8

前回のコラムでは、根の酸素要求量について書きました。

いろいろな作物を調べてみると、キュウリはトマトやナスに比べて酸素要求量が多いそうです。
それ故、キュウリの根は、地表下の浅いところを横方向に伸びていきます。土壌の表層部分は、
酸素を取り込みやすい環境だからです。

では、水耕栽培でのキュウリの根は、どうなるのでしょうか。
いろいろ調べた結果、キュウリの場合、圧倒的に根の量が多くなります。
水の中の酸素をできるだけ多く取り込むために、根を発達させるからです。
トマトやナスも、それなりに根の量は多くなりますが、キュウリほどではありません。

そこで、疑問が湧きます。おなじ植物なのに、なぜ酸素要求量が異なるのでしょうか。
そこで、もう一度、位田藤久太郎氏に登場いただきます。
「 夏の蔬菜6種、秋、冬の蔬菜14種間では、根の酸素吸収量は、
夏蔬菜はイチゴ及びインゲンが多くてナスが少なく、秋、冬蔬菜ではイチゴ、
ソラマメに次いでエンドウ、ハクサイ、ホウレンソウ、チシャ、ダイコンが多く、
フダンソウ、ミツバは少ない。イチゴでは乾物重当りの根の酸素吸収量は多くないが、
インゲン、ソラマメなどでは乾物重当りの酸素吸収量も多い。
これは根の中に呼吸にあずかる水素供与体、或いは酵素の豊富なことに基困するであろうが、
此の点については尚研究を要する。根の酸素要求量の多い蔬菜は一般に耐水性が弱い。
夏の7種の蔬菜について0°Cから60°Cまで、5°C毎に根の吸収する酸素量を測定した結果、
ナスのほかは0°~2°Cでも吸収が行われ、低温期に生育するイチゴは低温下での吸収量多く、
インゲンも比較的低温で酸素吸収量が多い。酸素吸収量の最も多い温度はナス、 トマト、
トウガラシは50°C、キュウリは40°C、インゲン35°Cで、イチゴは60°Cである
。15°Cでの根の酸素吸収量に比し、35°Cでは1.9~4.5倍, 45°Cでは2.1~5.3倍に増加する。」
「根の水素供与体、あるいは酵素の豊富なこと」とは、どのようなことを意味しているのでしょか。

植物学の専門家ではないので、どこまで掘り下げればよいのか迷いますが、
「水素供与体」とは、酸化還元反応の際、水素を与える物質のことです。
根が水分や養分を取り込む時、水素イオンの濃度差によって能動的に行なわれていることから、
水素供与体に言及されているのでしょう。
*水そのものも、水素供与体です。同時に受容体でもあります。

次に、「酵素の豊富なこと」と酸素要求量がどのように関係しているのでしょうか。
水分や養分を吸収するためには、根毛の発達が欠かせません。
根毛の先端では「NADPHオキシダーゼ」という酵素が活性酸素を作り出していることや、
この活性酸素が細胞膜上のカルシウムチャネルを活性化して、
カルシウムイオンを細胞内に流入させていることが知られています。
どうやら、酵素の豊富なこととは、このことを言っているおられるのだと思いますが、
浅学非才の身では、理解はこの辺りまでです。
さて、次回はナノバブルが、ただ酸素を供給するためのものなのか、それとも電子供与体として、
なんらかの働きをもっているのか、検討してみたいと思っています。
このことは、ずっと考えてきたことであり、ナノバブルの謎に迫るテーマと捉えています。