世界のナノバブル最新情報!Part10

世界のナノバブル最新情報 Part10

ナノバブルを研究している者にとって、もっとも関心があるのが「生成技術」です。
代表的な生成技術としては、加圧溶解法、キャビテーション法、エジェクター法式、
旋回流法式、スタティックミキサー方式、ベンチュリー法式などが挙げられます。
ただ、基本的には気液混合技術であり、「気体の供給方法」が加圧溶解、自吸、気液二相流、
「バブル発生機構」がキャビテーション、せん断力、衝撃波を組み合わせていると言えます。
他には、多孔体を用いた発生技術もあります。

さて、2020年4月に、まったく新しいナノバブル生成技術が発表されましたので、
最新情報として取り上げさせていただきます。
ダブリン・ユニバーシティ・カレッジの研究者たちが、外部電場による水中での安定的な
ナノバブルの大量生成技術を発見したとのことです。
https://advances.sciencemag.org/content/6/14/eaaz0094.full

難解な論文ですが、一部を要訳します。

まず、ナノバブルは、「固体表面やバルク液体に存在するナノスコピック気体ドメイン」である。
また、バルクナノバブルは、「ほとんどの水溶液に存在すると考えられ、おそらく攪拌と宇宙放射線によって
絶えず作り出されている」ということだそうです。
ナノスコピック気体ドメインとは、ナノスケールの気体構造物とでも訳す方が分かりやすいかもしれませんが
、攪拌と宇宙放射線によって、水溶液中に絶えず作り出されているという記述には驚かされました。
なんとなく、水溶液の中にナノバブルがいくらかは存在するというのは想像できるのですが、
攪拌と宇宙放射線でナノバブルが作られるというのは、「なんじゃそれ!?」という感じです。
ただ、このことに拘泥していては、先に進めませんので、そうなんだということで次に行かせていただきます。
ナノバブルが長期間、安定して水溶液中に存在し続けるのは、負電荷によって囲まれているから
(負のゼータ電位 -25から−40 mV)、結果として生じるナノバブルの相互反発は合体を防ぎ、
浮力上昇を著しく遅くする、不溶性ガスは安定したナノバブルを形成する、逆に可溶性ガスの場合、
内部圧力はヤングラプラス方程式による等は、すでによく知られていることです。

さて、新たなナノバブル生成技術について、それがどういうものかを理解できる範囲で解説してみます。
どうやら、ダブリンの研究者たちは、この負に帯電しているというところから生成技術の着想を得たようです。
そこで、外部に設置された電界が、ナノバブルの形成を制御、強化できるかどうかを試しました。
圧力容器に脱イオン水を入れ、その中に純粋なガスを供給し、密閉します。
そして、外部に持続的な静電場(約12kV/m)を活性化させます。
この電界の電荷狭窄力によって生じる液体中の局所的な負圧領域が「空隙」を形成し、
そこでキャビテーションが起きます。
詳しくは、論文を読んでいただきたいのですが、イメージとしては、水溶液中に「ナノレベルの穴」
が開いた状態を作り出すという生成技術のようです。
まだまだ、解明しなければならないことや、他の機関での後追い検証が必要でしょうが、
今後の研究の進展を注意深く見守っていこうと思います。