ナノバブル!よもやま話

ナノバブル よもやま話

ナノバブルは、いろいろな学問的立場から研究されています。
流体工学、混相流、超音波、プラズマなど、それぞれの分野から、
様々なナノバブルに関する研究が行なわれています。

今回は、直接ナノバブルとは関係ないのですが、実に興味深い報告がありましたので取り上げてみます。
「液体は固体上をどのように滑るのか」
2020年3月30日に東京大学・生産技術研究所の田中肇教授が発表された論文です。
https://www.axismag.jp/posts/2020/04/186592.html
詳しくは上記の論文をお読みいただきたいのですが、ざっくりと要約させていただきますと、
固体の上を液体が流れる時、液体がある流速を超えると、液体が固体表面をスリップしている
ように見える現象があり、そしてこのスリップ現象は、液体の流速の増大により、
液体と固体の間に気体相が生成されることにより起きるという内容です。
気体相が生成されるとは、どうやら、液体に溶けている気体が、
固体の上でサーフェス・ナノバブルになって、徐々に形成されると考えても良いのではないでしょうか。
*サーフェス・ナノバブルとは、固体の上にくっついている半球のナノバブル

サーフェス・ナノバブルがどんどん増えて融合していくと気体相になるのでしょう。
論文の中に、気泡が成長していく写真がありますので、ぜひご覧になって下さい。

もし、このサーフェス・ナノバブルの形成をコントロールすることができれば、
スリップ現象を制御でき、流体の輸送に伴うエネルギー損失の低減につながるかも知れません。

もうひとつ、スイスからの報告を紹介します。
「ストローの中の気泡はなぜ動かないのか。100年前からの物理学上のミステリーを大学生が解明」
スイス連邦工科大学ローザンヌ校の学生であるダウアディさんの報告です。
https://nazology.net/archives/48619

これも詳しくは上記の論文をお読みいただきたいのですが、通常、液体中に存在する気泡は必ず浮き上がってきます。
ところが、ストローなどの数ミリメートルのチューブ内の気泡の場合、同じはずの物理現象が通用しません。

この気泡が浮き上がってこない(動かない)現象を、1960年代にプレザートンという物理学者が
「チューブの内壁と気泡の間にできる液体の薄膜(数十ナノメートル)が、詰まりの原因ではないか」
という仮説を立てます。
そして遂に、ダウアディさんが「チューブの内壁と気泡の間の膜がきわめて薄いため、
上昇を妨げるほどの強い抵抗力が生じていることが原因である」と、この現象を解明したのです。
結論は、「気泡は制止しておらず、実際には超低速で上昇している」ということだそうです。

ナノバブルが浮き上がらないで、長く液体内に存在し続ける理由も、このあたりにあるのかもしれません。