マイクロバブル・ナノバブルの新たな可能性1

もっと知りたいナノバブル

2022年01月20日

マイクロバブル・ナノバブルの新たな可能性1

新たな可能性を展望する上で、現状を把握しておきたいと思います。
参考にする資料は、昨年3月に発表された「独立行政法人 製品評価技術基盤機構 
国際評価技術本部国際企画課 ファインバブル室」の調査報告書要約です。
株式会社矢野経済研究所に委託し、作成したものです。
この報告書では「マイクロバブル」と「ナノバブル」を「ファインバブル」と呼称しています。
混乱してはいけませんので、それを踏襲します。
*一般社団法人ファインバブル産業界のホームページには、
「ファインバブル」には、泡の大きさにより「マイクロバブル」と「ウルトラファインバブル」
の2種類があります。「ファインバブル」のうち、直径100μm未満で1μm(=0.001mm)以上の泡を
「マイクロバブル」、それより小さい直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」
と呼び区別しています。「ファインバブル」「マイクロバブル」「ウルトラファインバブル」
の用語は国際標準化機構(ISO)で世界各国の代表者が合議して定義されました。
「ナノバブル」「ナノマイクロバブル」など他の呼称はもう使いません。
とありますが、「マイクロ」「ナノ」は、長さの単位であり、なぜわざわざ
「ウルトラ」などという用語を使うのか?
コロナ禍の影響で2年開催を見送られていますが、「The International Nanobubble Society」と
「The Organizing Committee of the International Conference on Nanobubbles」の合同会議が、
本年11月にドイツで開催されます。
「ナノバブル」という用語は世界で通用していますので、改めて国際標準化機構で「Microbubble」
「Nanobubble」に統一する方が良いのではないかと思います。
それでなければ、世界基準の研究に遅れをとってしまいそうです。
このコラムでは、「ファインバブル」を「マイクロバブル」「ナノバブル」の総称として用い、
粒径がマイクロのものは「マイクロバブル」、ナノのものは「ナノバブル」と呼ぶようにします。

寄り道してしまいましたが、矢野経済研究所のまとめた資料によりますと、
ファインバブル発生装置の日本国内の市場規模は2017年が167.5億円、2018年213.3億円、
2019年310.6億円、2020年374億円、2021年425.3億円となっています。
では、どのような商品が売れているのか、その内訳を見てみますと、
2019年では住宅設備機器がもっとも多く、66%を占めます。
そして、そのほとんどが「シャワーヘッド」だそうです。
次に洗浄が14.3%、農林業が4.8%、水・排ガス処理3.8%、水産業3.1%となっています。

この内訳を見て分かることは、ナノバブルをナノ粒子として活用する住宅設備機器(研磨など)や
洗浄機器(皮脂や汚れに吸着・浮上分離)と、酸素移動効率を上げる農林業(根に酸素供給)、
水・排ガス処理(恐らく活性汚泥法における微生物への酸素供給)、
水産業(養殖池、および槽の水への酸素供給))のふたつのアプリケーションに大別できそうです。

今回のコラムでは、マイクロバブル・ナノバブルの新たな可能性、
すなわち新たなアプリケーションを探っていこうと思っています。