ナノバブル!よもやま話3

もっと知りたいナノバブル

2020年05月27日

ナノバブル よもやま話3

今回は、ナノバブルと水の電気分解のお話です。

水の電気分解は、中学校の理科の授業で習いました。
理科実験室で、発生したガスにマッチをかざすと、水素がポッと音を出して燃え、
酸素に線香を近づけると勢いよく燃えたことを思い出します。(ちょっと古いですね)
お忘れの方は下記の動画をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=lqXKIyJ_azc

水が分解すると水素と酸素に分かれるという説明を受けたのですが、火を消す水が燃えるのが、
なんとも奇妙に感じられたものです。

さて、電気分解で生まれた水素や酸素は、どのように振舞うのでしょうか。
最終的には水面から外に出てくるわけですが、ヘンリーの法則だけで説明がつくのでしょうか。
*ヘンリーの法則:溶媒に溶ける気体の物質量は、圧力に比例するという法則です。大気中の場合、
水に溶ける気体は温度に比例します。酸素は25℃の場合、リッター当たり8mgほどです。
一時、酸素がたくさん溶けている「酸素水」というものがありましたが、ペットボトルの栓をひねると
、一気に余分に溶けていた酸素は抜け出してしまい、ただの水に戻ってしまうのです。
一過的なブームに終わったこともうなづけます。

おもしろい報告が見つけましたので紹介します。随分前のものですが、これまで気づきませんでした。

滋賀県立大学の菊地憲次教授が「電解水中の水素コロイドおよび酸素コロイドの挙動の解析」
と題して発表されたものです。
飲用アルカリ性電解水(いわゆるアルカリイオン水)の有効成分の一つとして、
電解水中に含まれる水素が着目されている。この水素の一部はナノバブルとして存在していることを発見し、
その挙動を明らかにしてきた。さらに、この応用について研究中である。
また、陽極から生成する酸素についてもナノバブルとなることを確認し、この挙動とその安定化機構を
検討中である。

この発見については、以下のような苦労話も述懐されています。
塩化ナトリウム水溶液などを電気分解して得られた電解水中に、直径が20?600nmの水素ナノバブルが存在
することを初めて見出しました。1997年に学会発表したところ非難の的となりました。
このような経験は初めてで意気消沈しましたが、思い直してナノバブルの存在の証拠を更に積み重ねる
ことで次第に認知されだし、今では電解科学技術委員会で機能水の担当を要請され、発見当時とは隔世の
感があります。
非難の理由は、気泡の内部圧は直径が小さい程高くなり,、20nmでは約200気圧となるので、20nmのナノ
バブルの寿命は数ミリ秒と予測されます。
しかし水素のナノバブルで3時間存在すると発表したからでした。
ところが酸素のナノバブルは50日間も存在することを確認しています。
また、この気泡の重さは電気分解の条件によって変わり、水よりも大きいものがあることを初めて見出
しました。このようなナノバブルの生成とその安定化機構を解明しつつあります。

電気分解で水中に生まれた水素分子や酸素分子が集まり、ナノバブルへと成長するということなので
しょうか。そう考えると、成長のどこかの段階で電気分解をストップすると、バブルの粒径(サイズ)
をコントロールできる
かも知れません。
ナノバブルの化学的特性、物理的特性が解明される可能性があります。

ただ、残念ながら、その後の研究成果の発表が、いくらネット検索しても見当たりません。